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2015.03.10

デュマ・フィスの『椿姫』

『椿姫』の原作者、アレクサンドル・デュマ・フィス(1824~95)も、激動の19世紀パリに生まれた作家です。

デュマ・フィスは、父であり、『モンテ・クリスト伯』や『三銃士』で知られる文豪アレクサンドル・デュマ・ペール(親子を区別するため、ペール(父)、フィス(子)をつけて呼ばれる)と、縫製工であった母との間に、私生児として生まれ、辛い幼少時代を過ごしました。7歳の時、父に認知され、最高の教育を受けることになります。また、デュマ・フィスが成人する前には、父は売れっ子作家として莫大な財産を成すようになっており、父の財産で遊び呆けていたといわれています。

そんな中、20歳のときに出会ったのが、マリー・デュプレシ(アルフォンシーヌ・プレシ)という「クルティザンヌ」、一般的な訳でいうところの「高級娼婦」でした。デュプレシはデュマ・フィスと同い年で、彼らが出会った頃には、彼女はすでに数名のパトロンに囲われる高級娼婦として、パリの裏社交界の華となっていました。二人は恋に落ちますが、間もなく破局。デュプレシは、ある伯爵とロンドンで結婚しますが、47年に肺結核で亡くなります。その死を知ったデュマ・フィスは、彼女をモデルとした小説『椿姫』をわずか24歳で書き上げたのでした。

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