佐渡裕のモーツァルト!
オペラの中のオペラ!
兵庫県立芸術文化センター 夏の風物詩、佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ。初めてオペラを観る方も含め、多くの方々にオペラをお楽しみいただいてきました。2023年はモーツァルトと台本作家ダ・ポンテによる屈指の名作、「ドン・ジョヴァンニ」をいよいよ上演します!
原作はスペインの貴族ドン・ファンの伝説。数々の女性を虜にし、放蕩の末に地獄へと落ちる男の物語は、古くから芸術作品の題材にされてきましたが、本オペラのドン・ジョヴァンニ像は格別の存在感を放っています。欲望のままに生き、「悔い改めるくらいなら地獄を選ぶ」ドン・ジョヴァンニの生き様。そして、彼を取り巻く人物たちの心理描写。疾走感あふれる作劇と、快活で美しく、時に悪魔的な音楽で、心に迫るドラマが描き出されています。
地獄を予感させる序曲に始まり、快楽を謳うドン・ジョヴァンニの“シャンパンの歌”や彼の女性遍歴を召使レポレッロが語る“カタログの歌”、口説きのデュエット“お手をどうぞ”ほか名曲の数々。佐渡裕芸術監督のタクトに乗って、次々に観る者を魅了していきます!
W.A.モーツァルト
(1756‐1791)
L.ダ・ポンテ
(1749‐1838)
泣かせた女性は2,000人超。
型破りな色男の行く末は?!
スペインの貴族ドン・ジョヴァンニは、行く先々で、女性たちと関係を持っている。
ある夜、忍び込んだドンナ・アンナの邸で、彼女の父親である騎士長に見つかり、決闘の末に殺してしまう。
その場を離れたドン・ジョヴァンニは昔棄てた女性ドンナ・エルヴィーラに出会うが、彼女をかわし、新婚の花嫁ツェルリーナを口説きだす始末。
一方、復讐を誓うドンナ・アンナとその婚約者ドン・オッターヴィオも彼を追う。性懲りもなく放蕩を続けるドン・ジョヴァンニ。
しかしそこへ、ある男の声が語りかけてきて・・・。
正統派の演出、壮麗な舞台、
エレガントな衣裳
演出を手掛けるのは、これまでにプロデュースオペラで上演したモーツァルト作品、2014年「コジ・ファン・トゥッテ」、2017年「フィガロの結婚」に続き、デヴィッド・ニース。ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場の首席演出家を務めた辣腕です。装置・衣裳も前2作に続きロバート・パージオラが担当。圧倒的な美しさとスケール感のある舞台装置は前回に続き期待が高まります。一方、現代の観客にも作品の普遍性が感じられるよう、今回の衣裳は20世紀半ばのデザインを想定。華々しきオートクチュールの時代を思わせるエレガントなドレスに目を奪われることでしょう。オペラを知り尽くした二人のタッグで、細部にまでこだわったオーソドックスで美しい舞台が作り上げられます。
キャスト&スタッフへ
佐渡裕芸術監督メッセージ
2023年で19年目となるプロデュースオペラシリーズは、「多くの人にオペラの魅力を伝えたい」というビジョンを持って毎年多様な演目を計画してきました。その中でも、モーツァルトは重要な位置を占める作曲家です。生き生きと人物を描き出す音楽の多面性はまさに圧倒的!その音楽によって、ドラマの中に入り乱れる強いエネルギーが神々しいとさえ思えるほどに昇華されています。
「ドン・ジョヴァンニ」で鮮烈な印象を与えられるのは、主人公の“行き着くところまで行ってしまう、欲望の凄み”ではないでしょうか。亡霊が登場するという点でもユニークで、そこに個性的な登場人物が加わり、最高にドラマティックなオペラが完成されているのです!
演出を手掛けるデヴィッド・ニースは、「コジ・ファン・トゥッテ」「フィガロの結婚」でも素晴らしい手腕を発揮されました。今回も、作品のエッセンスを浮かび上がらせる正統的な演出で、作品の魅力をあますことなく伝えてくれるでしょう。国際的に活躍する歌手たちとともに、世界最高水準の「ドン・ジョヴァンニ」をお目にかけます!