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2024.02.11
蝶々さんの現在(いま)を聞く。迫田美帆(ソプラノ)インタビュー
近年、藤原歌劇団の公演を中心に主要な役で出演が続く迫田美帆さん。当センターでは2022年のプロデュースオペラ「ラ・ボエーム」にカヴァーキャストとして参加し、その実力を示されました。躍進のソプラノにお話をうかがいました。
◆役柄や出演への意気込みについて◆「蝶々夫人」記者会見レポートはこちら
−ご活躍が続いていますが、近況をお聞かせください。
昨年アメリカに引っ越したのですが、2023年の夏にジョージア州のサバンナというところで「蝶々夫人」を歌いました。藤原歌劇団のデビュー公演で歌ってから2度目の蝶々さんでした。
その時の演出家が、自身がソプラノ歌手として何度も蝶々さん役を歌った経験のある方で、感じるポイントは、日本で受けた演出とさほど変わりがありませんでした。悲しいポイント、うれしいポイント、それに対する反応は、音楽を介するとどこの国でも一緒なのだと感じました。お客様の反応も、日本で歌った時と同じような印象でした。もっとも、それがもっと大きくなって(感情豊かに)返ってきたのですが。この「蝶々さん」という作品は国籍を問わず、皆さんの心に届く作品であると実感しました。
−アメリカではピンカートンに対してはどのような反応なのでしょうか?
悪い奴は悪い奴、という感じで、終演後にお客様から、「うちの国のとんでもない男がごめんね!」と言われたりもしました(笑)。たくさんの方が泣いていて、皆さん蝶々さんに感情移入して観ていらしたんだなと思いました。
−他にはどんなご活躍をされていますか?
日本では、11月に帰国してから2024年1月に出演した「ファウスト」のための小さなコンサートに出演し、「第九」には7公演に出演しました。7公演すべて団体が違っていたので、面白い経験でした。
−たくさんの言語の作品に取り組んでおられますね。
フランス語、イタリア語、日本語・・・その国の言葉ごとに、重さの乗る言葉が違って、もちろん音楽もそれに合わせて書かれているので、その重みは音楽から読み取ることもできるのですが、やはり、言葉上でそのロジックがわかっていないと、なかなか表現に結びつかないところがあります。それに関しては、「ファウスト」のマルグリートをフランス語で歌うにあたって、フランス人の友人に尋ねたり、師匠であるジュゼッペ・サヴァティーニがイタリア人なのですがフランス語が話せて、ファウスト役を非常に得意としている方なので、教わりました。
−「蝶々夫人」はイタリア語で書かれた日本人の話ですね。
日本語だと自分の肌にしみ込んだ言語ですが、イタリア語だと逆に、少し客観的に、俯瞰して歌えたりします。
−共演者についてはいかがですか?
同じ組の方はほとんど初めてで、清原邦仁さんだけが、「ラ・ボエーム」でご一緒しました。それ以来なのでお会いするのが楽しみです。髙田智宏さん、町英和さんもボエームで一緒でした。髙田さんは、そこで知り合ったのをきっかけに、ドイツ作品を歌う際にアドバイスをいただいたりしています。
林美智子さんは、ずっと憧れの存在でしたので、一緒の舞台に立てるのがとても楽しみですし、身が引き締まる思いです。
■公演情報■
佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ2024「蝶々夫人」
【全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付/改訂新制作】
2024年7月12日(金)~21日(日) ※16日、19日は休演
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール