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2024.07.15
「オペラ創造ワークショップ」を開催しました
ただいま大好評上演中のオペラ「蝶々夫人」。開幕に先立ち7月11日に開催した「オペラ創造ワークショップ」の様子をご紹介します。
今回は「演出家・栗山昌良の芸術と感動を語る」と題した企画を開催。佐渡裕芸術監督と朝日新聞編集委員の吉田純子さん、プロデューサーの小栗哲家さんという、共に生前の栗山氏と親交の深かった3名が登壇し、栗山氏の演出の魅力やそのエピソードをお話しました。
栗山昌良氏の生前の映像を放映
冒頭では、栗山氏の亡くなる約2か月前に撮影された映像の一部を放映。その中で「(氏がオペラ演出を始めた1950年代以前の日本のオペラ界にはなかった)演劇的な要素をオペラに入れることが必要だと思った」という栗山氏。そして、「バタフライはなぜ自害するのか」という問いに対しては、「自分の矜持(プライド)」「その頃の(ヨーロッパから見た)日本といえば、切腹。プッチーニは面白いと思って、ドラマティックなことだからやったのでは」と答えるなど、「蝶々夫人」に関する晩年の貴重なコメントを皆さんにご覧いただきました。
左からプロデューサーの小栗哲家さん、朝日新聞編集委員の吉田純子さん
続いて、小栗さんと吉田さんが栗山氏のエピソードを紹介。まず、小栗さんが、栗山氏が「芸術とは、虚の中の実を描く」ことだと語っていたこと、また「人間の根源の真理の美」を追求していたと説明しました。
そして吉田さんは、「プッチーニが一番好きだ」と言っていた栗山氏の「ヴェルディは作品を作った、プッチーニは人間を作った」との言葉を披露。また、栗山氏が繰り返し語っていた「プッチーニの音楽のクライマックスはSotto Voce(ひそやかな声で)である」という考えや、演出に対する姿勢、また戦後の日本において栗山氏がオペラ演出に取り組んだ経緯などを紹介しました。
■詳細は、栗山氏について吉田さんが執筆された記事でもお読みいただけます(朝日新聞デジタル※会員登録が必要です)
オペラはドラマ、96歳栗山昌良の情熱 演出の「蝶々夫人」、東京二期会が上演
(惜別)栗山昌良さん オペラ演出家
佐渡裕芸術監督
続いて、佐渡芸術監督が登場。19歳から26歳まで副指揮者を務めた関西二期会を中心に、栗山氏の演出作品に携わり、オペラを教え込まれたという佐渡監督。最初の数年は口を聞いてもらえなかったほど厳しい面もあったが、本当は優しい先生だったと思い出を語りました。
また演出に臨む際、栗山氏は非常に深く楽譜を読み込んでいたということにも言及しました。
蝶々さん役カヴァーの梨谷桃子さん。ピアノは声楽コーチの森島英子さん
そして、観客の皆様へ素敵な歌のプレゼントとして、今回の上演で蝶々さん役のカヴァー(練習や公演で代役を務める歌手)として参加しており、ハイライトコンサートでは題名役を務めたソプラノの梨谷桃子さんが、名アリア「ある晴れた日に」を披露しました。
お客様も舞台に上がり、装置や衣裳を間近で見学
ワークショップ終了後は皆様に、バックステージツアーをお楽しみいただきました。
オペラ開幕前の関連企画公開リハーサルの2日間、ワークショップを合わせ、7000名を超えるご応募をいただき、3日間で約1700名の方にご参加いただきました。今回は叶わなかったという方も、ぜひ来年以降、お楽しみになさってください!