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2024.11.06

濱田芳通&アントネッロの「オルフェオ」 ワンコイン・プレ・レクチャーを開催しました!

濱田芳通&アントネッロの「オルフェオ」 ワンコイン・プレ・レクチャーを開催しました!

500円で気軽に楽しくオペラの予習ができる好評のワンコイン・プレ・レクチャー。2月15日、16日に上演される「オルフェオ」について、「いま聴きたい 感じたい!バロック・オペラ『オルフェオ』の魅力」と題し、レクチャーを開催しました。
講師は、2月の公演で指揮を務める濱田芳通さんと、演出家の中村敬一さん。ゲストに中山美紀さん(ソプラノ)、坂下忠弘さん(バリトン)、高本一郎さん(リュート)をお迎えし、分かりやすい解説と素敵な生演奏をたっぷりお届けしました。そのお話の一部をご紹介します。

講師 (左から)濱田芳通さん、中村敬一さん

モンテヴェルディってどんな作曲家?モンテヴェルディ(1567-1643)は、ルネサンスからバロックへ音楽作法の新時代を切り開いたオペラ史上初の大作曲家。イタリアのクレモナに生まれ、マントヴァの宮廷に勤めていた40歳頃に「オルフェオ」を作曲、後にヴェネツィアに移り活躍しました。
同じイタリア・オペラといってもヴェルディやプッチーニらとは250~300年ほど隔たりがありますから、現在、一般的にイメージされるオペラとは様々な違いがありました。

濱田さんと中村さんによると、「オルフェオ」が初演された時代のオペラは:

●使用楽器が異なっており、このころから流行ったヴァイオリンは使われたが、チェロはなく、ヴィオラ・ダ・ガンバが一般的に使われていた。管楽器ではこの頃はまだトランペットにピストンはついていないなどの違いがあった。

●オペラハウスに聴衆を集めて上演するようになったのはモンテヴェルディの晩年になってから。「オルフェオ」は宮廷で貴族たちの愉しみのために初演された。宮廷の大広間はとても響く場所なので、歌手はベルカント唱法ではなくシャンソンのような発声で歌っていたと考えられる。

といった特徴が挙げられます。

歌曲「とても美しいお嬢さん」の演奏。(左から)高本一郎さん、中山美紀さん、坂下忠弘さん、濱田芳通さん

音楽的な特徴は、百聞は一聴にしかず!ということで、ここで、モンテヴェルディの歌曲を2曲演奏。1曲目はリュートの爪弾きとともに歌われる抒情的な楽曲「かくも甘い苦悩が」。そして2曲目はリズミカルな「とても美しいお嬢さん」。
濱田さんは、「当時の楽曲はリズムが複雑で、“ポリリズム”(2拍子と3拍子など、異なる拍子を持つリズムが同時に進行すること)がよく見られ、それがワクワクするようなリズム感を呼び起こしている」と指摘。リズミカルな音楽も、語るような音楽も、一つの作品の中に詰め込まれたオペラは、まさに作曲家が持てる音楽表現を最大限に発揮できる音楽ジャンルとなったのです。

「オルフェオ」はオペラの永遠のテーマ
ルネサンス末期の16世紀末のフィレンツェで、カメラータと呼ばれる知識人のグループが古代ギリシャ劇の再興を試みた結果生まれたのが、オペラという芸術です。
「オルフェオ」はギリシャ神話の物語であり、ローマ・バチカン中心のキリスト教的世界観に対抗して古代ギリシャのヒューマニズムへの回帰を謳ったルネサンスの文化人にとっては、恰好の題材でした。同時に、音楽の神の息子でリラ(竪琴)の名手であるオルフェオはオペラにぴったりの主人公でした。

ただし、ギリシャ劇の再興といっても、オペラは実際のギリシャ劇とは異なるかたちとなったと考えられています。濱田さんによると「美術でも、古代を題材にしながら服装はルネサンス風であるなど、ギリシャ的な要素は部分的に採り入れられた。」とのこと。カメラータも古代ギリシャ劇を研究しながら、結果的に新しい音楽劇を生み出すこととなったのかもしれません。

一方で、古代ギリシャ劇の劇場に見られた「スケーネ」「オルケストラ」「テアトロン」といった言葉が現代の舞台芸術にも残っているという点も中村さんにより解説されました。

主役オルフェオ役を務める、バリトンの坂下忠弘さん

冥界の王妃プロゼルピナ役を務める、ソプラノの中山美紀さん

続いて「オルフェオ」の楽曲から主人公オルフェオが歌う「君は死んでしまった」を坂下忠弘さんが、冥界の王妃プロゼルピナが歌う「愛する夫~なんて感謝したらいいのでしょう」を中山美紀さんが披露。

歌唱におけるバロック・オペラと現代のオペラとの違いについては、坂下さんがコメント。
「バロック・オペラの演奏はより即興的なので、歌手、奏者がお互いによく聴いていないといけない。また、ロマン派のオペラでは楽器の編成が大きく、必然的にオケに負けないように歌うということが重要になるが、古楽では薫り高い楽器が多いので、その薫りを引き継いで歌う、ということを意識している」とお話されました。

ちなみに、高本一郎さんが演奏されたリュートは中東起源の楽器で、時代によって形や弦の数が変わるそう。この日演奏されたのは14弦の楽器でした。和声の進行に基づいて即興で演奏するので、「二度と同じようには弾けない」のだそうです。

濱田芳通&アントネッロの音楽
「中学生の時にルネサンス音楽を聴き電気が走った」ことから、中世・ルネサンス音楽を探究してきた濱田さん。リコーダーとコルネット(ツィンク)の演奏で活躍する一方、指揮者としてオペラに取り組んで来られました。
「言葉より歌で伝える方がダイレクトに伝わるということがわかり、その素晴らしさに惹かれ、オペラにのめり込んだ」といいます。
何世紀も前の音楽ながら、常に新鮮さを感じさせる演奏で人々を魅了する濱田さん。その神髄を感じられるバロック・オペラ「オルフェオ」を、ぜひお見逃しなく!

「ナイチンゲール」の演奏

最後の演奏は、濱田さんのリコーダー・ソロによる「アマリッリ麗し」と、鳥の声を模倣したリコーダーと歌による「ナイチンゲール」。即興的に演奏されたという当時の音楽の魅力をたっぷり味わうことのできた2曲でした。

2月の「オルフェオ」公演は好評発売中!残席が少なくなってきていますので、お早めにご予約ください!

濱田芳通&アントネッロの「オルフェオ」
日時:2025年2月15日(土)、16日(日) 2:00PM
会場:兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール
入場料:A12,000円 B8,000円 C5,000円(消費税込)
問合せ:芸術文化センターチケットオフィス 電話0798-68-0255
主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター
ご予約は公演カレンダーより

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