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2023.06.01

関連企画≪「ドン・ジョヴァンニ」第1回ワンコイン・プレ・レクチャー≫を開催しました!

関連企画≪「ドン・ジョヴァンニ」第1回ワンコイン・プレ・レクチャー≫を開催しました!

500円で気軽に楽しく作品の予習ができるオペラ講座として毎年好評のワンコイン・プレ・レクチャー。
第1回は、講師に指揮者、作曲家、チェンバロ奏者として活躍する根本卓也さん、そして生演奏にチェロの山本徹さん、ソプラノの老田裕子さん、バリトンの迎肇聡さんをお迎えし、「ドン・ジョヴァンニ大解剖!~のちの時代にも愛された名曲の数々」と題して開催しました。

舞台上にはピアノとチェンバロが置かれ、根本さんによる生演奏を中心に、山本さん、歌手のお二人の実演、さらに笑いもあり!?和やかな雰囲気の中、お得で贅沢なレクチャーが行われました。お話の内容を一部ご紹介します!

講師・根本卓也さん

 

大解剖!ドン・ジョヴァンニの年齢は?
主人公である「ドン・ジョヴァンニ」ですが、このキャラクター自体が美術作品に登場したのは、モーツァルトが作曲した1787年から遡ること157年。1630年頃、スペインの修道士(ティルソ・デ・モリーナ)が書いた『セビーリャの色事師と石の客』という戯曲が原形となりました。主人公ドン・ファンが4人の女性を誘惑していく・・・という物語ですが、その中の3人目の女性がドンナ・アンナにあたり、その恋人のドン・オッターヴィオ、さらに4人目の女性はツェルリーナと、『ドン・ジョヴァンニ』の登場人物の原型となるキャラクターが登場していたのです。1665年には、フランスの劇作家・モリエールが改作発表した『ドン・ジュアン』でドンナ・エルヴィーラにあたる人物が登場し、その後もイタリア各地でこの題材に基づくオペラが作られ、のちの「ドン・ジョヴァンニ」へと繋がりました。

レチタティーヴォ・セッコ
オペラは作曲された時代や国ごとに様々な形がありますが、1600年代後半頃からは、話を進める「レチタティーヴォ」と、心情を歌う「アリア」に演奏方法と共に分かれていきました。オーケストラを使うのが「アリア」、あまり楽器の数を多くせず、普通のスピードで喋っても伴奏が追っていけるよう簡略化していったのが「レチタティーヴォ」です。今回は「レチタティーヴォ」がどのようなものなのか、山本さんの生演奏に合わせて老田さんと迎さんが実演されました!

演奏したのは『ドン・ジョヴァンニ』の中でも現在演奏される機会が稀少なパート。「逃げたレポレッロをツェルリーナが捕まえてしばき倒す」という、今回のプロデュースオペラでも上演されないシーンで、こちらは『ドン・ジョヴァンニ』がプラハでの初演で好評を博した後、ウィーンで初演された際に加えられました。
当時は、その時々の上演で歌手のレベルや要望に合わせて一部の曲を差し替えることがよくあったそうで、この『ドン・ジョヴァンニ』でも実際に曲の差し替えが行われました。その中で、現在もよく歌われる部分があれば、歌われない部分もあります。
このシーンの筋書きを、まずは分かりやすく日本語で読み聞かせ、次はチェンバロ&チェロの通奏低音を加えて、さらになんと関西弁バージョンで披露!プレ・レクチャーならではの特別版に、客席では笑いも起こっていました。

レチタティーヴォ・セッコの実演シーン♪
左から山本徹さん(チェロ)、根本卓也さん(チェンバロ)、老田裕子さん(ソプラノ)、迎肇聡さん(バリトン)

 

後世の作曲家による『ドン・ジョヴァンニ』
モーツァルトが作曲した『ドン・ジョヴァンニ』は、後世の作曲家たちによってたくさん引用されています。
例えばベートーヴェンの「ディアベリ変奏曲」の左手のリズムは、本編1曲目の「夜も昼も苦労して」の主題とそっくり!?実際に根本さんの弾き比べを聴いたお客様からは共感の声も。
シューマンは、8歳の娘の誕生日のための「マリーのための音楽帳」の中で「恋人よ、さあこの薬で」から引用した曲を書いています。この曲はのちに「子供のためのアルバム」の附録として公表されています。

ドン・ジョヴァンニをもとにした曲の中で、根本さん曰く一番難しいというのが、リストの「ドン・ジョヴァンニの回想」という曲です。1841年に「ソロ版」、1877年に「2台ピアノ版」が作られています。この曲はほかとは違い、どこかのアリアや章だけを取り出したのではなく、『ドン・ジョヴァンニ』のオペラ全体にある色んな音楽的な場面を、ほぼ出てくる順番にリストがアレンジしながら物語全部を語るという、規模の大きい曲です。「2台ピアノ版」の中の「シャンパンの歌」をアレンジした部分を聴かせてくださいました。

さらに、終楽章が「お手をどうぞ」の変奏曲になっているという、ドイツのピアニスト・作曲家ヘレネ・リープマン=リーゼの「チェロとピアノのための大ソナタ」を、チェロの山本さんと共に生演奏♪
このほかにも、パガニーニやビゼーなど、名だたる作曲家たちによって編曲されています。いろんな形で『ドン・ジョヴァンニ』が愛され続けているということがわかりましたね。

「チェロとピアノのための大ソナタ」素敵な二重奏の演奏中♪

 

このほかにも、『ドン・ジョヴァンニ』作曲の経緯やチェンバロのお話など、随所に生演奏を盛り込みつつも分かりやすいレクチャーで盛りだくさんな内容に。質疑応答も交えて、7月の本公演に向けてたっぷり予習ができた90分でした。

次回は6月16日(金)に第2回ワンコイン・プレ・レクチャーがございます。第2回のテーマは「これであなたもドン・ジョヴァンニの虜~アブナイ男ほど魅力的!?」。オペラ・キュレーターの井内美香さんを講師に迎え、映像と共にお送りします。ぜひご来場ください!

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