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2023.07.13
「オペラ創造ワークショップ」を開催しました
プロデュースオペラ関連企画・オペラ創造ワークショップ 「オペラ‟ドン・ジョヴァンニ″の制作アトリエ」を今年も開催しました。
客席に入ると、黒と金の装飾が美しい舞台の額縁、そしてシャンデリアが吊り下がった美しいドン・ジョヴァンニの館が現れます。
冒頭は、ドン・ジョヴァンニ役カヴァーの仲田尋一さん、レポレッロ役カヴァーの湯浅貴斗さんが、高橋健介さんのピアノ伴奏で二重唱を歌われ、お客様をお出迎え。
その後、プロデューサー小栗哲家さんの司会で、演出家デヴィッド・ニースさん、舞台装置・衣裳デザイナー ロバート・パージオラさんにお話をうかがいました。
事前にお客様から寄せられた質問を中心に、オペラ創作の裏話をお聞かせくださいました。
演出家デヴィッド・ニースさん、舞台装置・衣裳デザイナー ロバート・パージオラさん
これまでに100作品以上を演出されてきたベテランのニースさん、日本でも多数の作品を手掛けていますが、日本の印象について、「スタッフ、歌手はみなプロフェッショナルで素晴らしい仕事をしてくれるし、お客様は勉強熱心で、オペラをよく分かって楽しまれている」と話します。
今回の演出に際して、作品が書かれた18世紀以前ではなく、現代に近い時代に設定されたニースさん。時代を置き換えて上演することに対しての質問で「時代を置き換えるのは難しいことではありません。この作品はセックス、欲望、復讐といったものが描かれていますが、それはいつの時代にもありましたから。私たちが身近な時代の人物像を通した方が、作品の本質がより伝えられます」と答えられました。
パージオラさんは、舞台装置のコンセプトを聞かれ、「物語の舞台となっているスペインというより、イタリアや中部ヨーロッパをブレンドしたようなデザインになっています。ヴェネツィアのテイストを取り入れているところもあります。この作品にある独特の暗さの表現として黒を使用していますが、一方でダークなだけではないモーツァルトの音楽のイメージから、金の装飾を施しました」と説明されました。
佐渡裕芸術監督
また、音楽面については、佐渡裕芸術監督が解説。オーケストラ伴奏によるアリアや重唱の間に歌われるレチタティーヴォ(話すように歌う部分)について、「驚き、悲しみなど会話に色が付く」と説明。チェンバロが即興的にコードに沿って演奏し、ときには効果音のような合いの手をいれるレチタティーヴォによって、物語がどんどん展開していくのです。
1幕の終わりに登場するバンダ(ピット内のオーケストラとは別に演奏する楽団)が、3つの異なる舞曲を演奏するシーンは、「モーツァルトがいかに天才か証明している!」と熱を込めます。皆さんも、よーく耳を澄ませて聴いてみてください。
ドン・ジョヴァンニ役カヴァーの仲田尋一さん(左)、レポレッロ役カヴァーの湯浅貴斗さん
そして、観客の皆さんへ素敵な歌のプレゼントとして、冒頭に登場した仲田さん、湯浅さんの歌唱、高橋さんのピアノ、副指揮の瀬山智博さんのチェンバロ演奏により、ドン・ジョヴァンニ、レポレッロそれぞれのアリアを披露されました。その後は恒例のプレゼント抽選会と、バックステージツアーが行われ、多くの方にお楽しみいただきました。
お客様も舞台に上がり、装置や衣裳を間近で見学