News最新情報

2023.09.14

鈴木優人(プロデュース・指揮・チェンバロ) バロック・オペラ『ジュリオ・チェーザレ』を語る!

鈴木優人(プロデュース・指揮・チェンバロ) バロック・オペラ『ジュリオ・チェーザレ』を語る!

10月7日(土)、兵庫県立芸術文化センターで上演されるヘンデルの歌劇『ジュリオ・チェーザレ』。鈴木優人さん率いるバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)のオペラシリーズ第3弾にして、初めての関西公演です。
プロデュース、指揮、チェンバロを務める鈴木さんに、その見どころなどを聞きました。

−『ジュリオ・チェーザレ』はヘンデルの代表作であり、またバロック・オペラの最高傑作とも呼ばれます。まず、このバロック・オペラとは何かということから教えてください。

大きく言えばバロック時代の音楽によって伴奏されるオペラ、ということになると思います。ヘンデルはバッハと同じく18世紀のバロック時代の作曲家ですが、この頃に書かれたオペラを、時代を区切ってバロック・オペラと呼んでいます。一番大きな特徴は「通奏低音」があるということでしょうか。

−「通奏低音」とはどういうものですか?

バロック時代独特の低音の伴奏のことです。この様式感自体はのちの時代のオペラにも残っていくのですが、特にバロック・オペラではお話を進めていくレシタティーボ(セリフ)の部分で、オーケストラではなくチェンバロのような和声楽器が(決められた和声の中で)自由に伴奏するんです。だから歌手の自由度もとても高くて、こうした演劇的な部分を彼らは指揮者に縛られずに自分の語りたいペースで、表現したいテンポで歌うことができる。これが通奏低音の面白さです。
特に今回は和声楽器だけでもハープ、テオルボ、ギター、それにチェンバロが3台あってかなり豪華な和音が鳴り響きますし、さらにファゴットやチェロやコントラバスといったあわせて10名の通奏低音チームが歌手を支えます。この時代のオペラならではの聴きどころだと思います。

−華やかな響きが聴こえてくるようですね。歌手も旬の方たちが揃いました。

森麻季さんのクレオパトラがまず魅力的です。チェーザレ役のティム・ミードさんはその森さんも絶賛する歌手。ヘンデルのオペラではテノールではなくてカウンターテナーが活躍するのですが、今回はこのパートにティムさんとアレクサンダー・チャンスさん、藤木大地さんの3人を迎えるのでまさにカウンターテナーの祭典。とても輝かしい響きをお届けできると思います。
視覚的な部分ではオーケストラを舞台に上げて、その周りを取り囲むように歌手たちの演技スペースを置く予定です。お客さまには演奏も、シェフのいるレストランの厨房を覗くような感じで見てもらいながら、歌と楽器と物語のトライアングルをお楽しみいただきたいと思っています。

−新しさと伝統が一緒になった歴史エンターテイメントという感じでしょうか。初めての関西公演ですが、このオペラの美しさや力強さは、関西の人たちの好みにぴったりのような気もします。

ヘンデルはまさにエンターテイメントとして『ジュリオ・チェーザレ』を書いたんです。彼はロンドンにおいて、 自らチケットを売りロンドン市民のための予約演奏会という形で作品を上演していたんですね。いまでもヘンデルハウスという名前で残っています。これは画期的なことで、宮廷付きの作曲家が王様とその周りの貴族のためだけに書いたオペラとは違って、ロンドンでの彼のオペラは市民のために書かれているんです。当時のイギリスは歴史の転換期で、ドイツでヘンデルが仕えていた王様が突然イギリス王ジョージ1世として即位したり、彼自身その激動を肌で感じていた部分があったのだと思います。そんな中で活気溢れるロンドンに、新しいエンターテイメントを提供しようと必死でペンを走らせていたんじゃないでしょうか。こうした作品の熱気が関西のお客さまにも伝わればうれしいですね。

−公演を楽しみにしているお客さまにメッセージをいただけますか?

予習は要りません。ここには名曲しかないので。素晴らしい音楽と共にシーザーとクレオパトラの物語をお楽しみください。でもちょっと興味のあるお客さまはネットで調べてみたりすると、ああシーザーの人生のこのくらいの時期のお話だねってことがわかって面白いかも知れませんね。

(聞き手・文 逢坂聖也)

■公演情報■

10月7日(土) 鈴木優人&BCJの歌劇『ジュリオ・チェーザレ』
【全3幕/イタリア語上演・日本語字幕付/セミ・ステージ形式】

指揮・チェンバロ:鈴木優人
演出:佐藤美晴

チェーザレ:ティム・ミード
クレオパトラ:森 麻季
コーネリア:マリアンネ・ベアーテ・キーラント
クーリオ:加藤宏隆
セスト:松井亜希
トロメーオ:アレクサンダー・チャンス
アキッラ:大西宇宙
ニレーノ:藤木大地
管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン

■こちらも必読!ヘンデルの魅力をたっぷり解説■【プレ・レクチャー レポート!】 語らずにはいられない!ヘンデルの名作たち

pagetop