ヨーロッパ中部の架空の国ウェストフェリア。
領主の子息マクシミリアンとクネゴンデが、メイドのパケット、
そして素朴な性格のキャンディードと共に、城で仲良く暮らしていた。
彼らの教師パングロス博士の教えは
「この世界は、神の意思によって最善に造られている」ということ。
どんな物事にも、そうなってしかるべき理由がある。
だから人間にとっては、
与えられた世界をそのまま受け入れることが一番の幸福だ、という。
ある日、クネゴンデと恋に落ちたキャンディードは、
城を追い出されてしまう。
ほどなくウェストフェリアで戦争が始まると、
クネゴンデは無残に殺され、パングロスも病に冒される。
キャンディードは新天地を求めパングロスと共に命からがら船出するが、
それも沈没。
さらに大地震が発生、何千もの人々が死んでしまう。
社会の群集心理による火炙り裁判。
パングロスは、それでも「世界は最善に造られている」という
考えを捨てない。
度重なる不幸と災難の中で、
数奇な運命の持ち主オールド・レディや
純朴なネイティヴ・アメリカンであるカカンボ、悲観論者マーティンなど、
魅力的な登場人物たちとの冒険が繰り広げられ、
キャンディードは次第に師の教えに対する疑問を感じるようになる。
本当に、この世界は最善に造られているのだろうか。
僕らはただそれを甘受していればいいのだろうか。
それが本当の幸福なのだろうか。
ついに、死んだはずのクネゴンデやマクシミリアン、パケットら、
かつて共に学んだ友達と再会し、
彼らが同様の苦難に出会っている現実を目の当たりにしたとき、
キャンディードは、
目の前の世界を自分の力で耕していくことが大切なのだ、
ということをつかみ取る。
※当サイト掲載の舞台写真は2008年ロンドン公演で撮影されたものです。本公演のキャストと一部異なります。