ストーリー

主要登場人物

舞台は1830年頃のスペイン、セヴィリア。タバコ工場でもめごとを起こした魔性の女カルメンを衛兵隊の伍長ドン・ホセが捕らえる。しかしその魅力に翻弄されたホセはカルメンを逃してしまい、その罰で牢に入る。花形闘牛士エスカミーリョも現れる酒場は、カルメンを含む密輸団のアジトになっていた。カルメンは刑を終えたホセと再会し、二人の情熱は激しく燃え上がる。しかし、立場に囚われたホセの生き方に苛だたしい憤りを感じるカルメン。自由こそ私の生き方、それで命を落とすなら、それも運命。陰謀 に加担したホセは、団に加わることを余儀なくされる。社会的立場を失う一方、いっそう募るカルメンへの激しい思いと嫉妬。愛憎の中でカルメンと決別し、母の危篤を知らせにきた幼馴染ミカエラとともに故郷に向かう。――興奮で湧き上がる闘牛場。カルメンに見送られ、エスカミーリョが華やかな戦いに向かう。ホセは、カルメンに最後の愛を迫るが・・・。


「カルメン」は、1875年にパリのオペラ・コミック座で初演されたフランス歌劇の代表作。 古今のオペラで圧倒的な存在感を放つ傑作ですが、作曲家ビゼーの生涯は、波瀾に満ちたわずか36年という短いものでした。神童として早くから音楽の才能を開花させ、「魔術師」と呼ばれたあのリストが絶賛するほどのピアノの腕を持ちながら、オペラ作曲家としての成功を夢見ます。が、「カルメン」の初演は散々なものでした。当時の聴衆にはあまりにも衝撃的だった、ストーリーと音楽は厳しい批判にさらされました。皮肉にも、後の「カルメン」の成功を知ることなく、初演からわずか3ヵ月後、ビゼーは突然この世を去ったのです。